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「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」

30分で、もう見るのは止めようかどうしようかと悩んでしまった。主人公のサム・ビック(ショーン・ペン)が生理的に受け付けないタイプの人物で、見ていて気持ち悪くなってきちゃって・・・。それもこれも、ショーン・ペンが上手すぎるのが原因なんだと思うんだけど。

《作品内容》
飛行機をハイジャックし、時の大統領リチャード・ニクソンを殺害しようとしたサム・ビック。サムが計画を実行しようとするまでの経緯を追った物語。

始めの30分で気持ちが悪くなったと言ったけど、最初からサムが“完全におかしな人”だったというわけではない。ただ、サムの仕草や言葉、全てが私を苛々させたし、『理不尽なキレ方をしそうだ』と思わせるサムの雰囲気が不気味に感じられて、この人を2時間近くも見てるのは嫌だなぁと憂鬱になってしまったのだ。(結局、最後まで見たんだけど)

映画の中では触れられていないが、実際のサムは精神病院に入院していたことがあるらしい。しかし、そんな事実が語られなくとも、ショーン・ペン演じるサムを見れば、なんとなくだが、それらしいことが伝わってくる。
彼の頭の中には自分しかなくて、他人の気持ちを思いやるとか、想像するとかいう部分が明らかに欠けている。自分の思い通りにならないことを全て周りのせい、世の中のせいにして、自分はその被害者だと思っている。社会で生きていくには、その時々によって自分を犠牲にしなくてはならないことや、妥協しなければいけないことが彼には全く理解できない。この時点で、明らかに40歳を過ぎた大人の考え方だとは思えない。彼の行動も考え方も、あまりにも極端で、幼い。

はっきり言って、サムのような人は無人島で一人で暮らすのが一番いいと思う。周りの人に迷惑をかけることもないし、サム自身“自分は奴隷だ”などと被害妄想を膨らませずに済むだろう。砂漠の中の一粒の砂だろうと、何だろうと、自分が自分を奴隷だと思えば奴隷だし、自分の人生を自由に動かすことのできる王様だと思えば王様なのだ。たかが、会社の上司に髭をそれと言われたくらいで、うだうだ言うなら、セールスマンなど止めて、無人島にでも引っ越せばいい。毎回、頭髪・服装検査に引っかかる中学生のようだ。そんな表面的なことで人間の尊厳が失われるとは、私には到底思えないし、『尊厳て、君にとってはそんなに薄っぺらいものなのか?』と逆に私はサムに聞きたい。

どんどん人が離れてサムは孤独になっていき、運さえも彼を見放していく。しかし、私は彼が可哀そうなどとは一度も思わなかった。全ては彼が引き起こした結果に見えたからだ。いかに犯罪者と呼ばれる人間が独りよがりな生き物かということを感じた作品。サムが“ちょっと変な人”から“完璧におかしな人”になるまで、追い詰められていく様子が見事に描かれていたと思う。今まで見た出演作の中で、ショーン・ペンの凄さを一番感じられた作品だった。

リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 リチャード・ニクソン暗殺を企てた男

販売元:ポニーキャニオン
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リチャード・ニクソン暗殺を企てた男@映画生活

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