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「ピアニスト」

ただの変態映画なのか?と心配していましたが、変態にも変態になる理由があるわけで。「もういいから、おやめなさい」と私は何度もエリカに言いたくなりました。

《あらすじ》
コンサートピアニストになる為、幼い頃から母親に厳しく躾けられてきたエリカ。しかし、母親の期待に添うことは出来ず、ウィーン国立音楽院のピアノ教師となる。中年になった今も母の干渉は相変わらずで、流行の服を着ることも、自由に恋愛をすることも許されない。そのストレスのせいなのか、彼女には誰にも言えない秘密(異常な性癖)があった。偶然、彼女のコンサートに来ていた青年クレメールから慕われるようになったエリカは、次第に彼に心を許し、自分の秘密を彼に打ち明けるのだが・・・。

見ているうちに息苦しくなってくる、嫌な映画です。
人が成長していく中で興味をもっていくだろう全てのこと(ピアノ以外)を禁止され、ものすごく歪んだ形に大きくなってしまったのがエリカです。彼女は異常です。異常ですが、今まで自殺をしなかっただけマシなような気もします。

そんな固い殻で覆われたエリカの心にひびを入れたのがクレメールだと思います。しかし、感情そのものを恐れていたエリカはクレメールの愛に素直に答える事ができない。今まで溜め込んでいた歪んだ愛をそのままクレメールにぶつけたのです。でも、そんなヘドロみたいな醜いものと一緒に愛をぶつけられても、まともに受け止められる人間なんてそうそう居るはずもなく、クレメールにはエリカの感情を理解することができません。

ラスト近くになると、エリカの行動はどんどん痛々しくなり、目をそむけたくなりました。クレメールにすがるエリカを引き離し、抱きかかえてそのまま遠くに逃げたくなるくらい、エリカの行動は、みじめで醜い。でも、それは今まで彼女が一人で抱え込んでいた心のゴミなのでしょう。初めて人を愛したエリカの中から純粋な愛情と共にあふれ出たゴミなんだと思いました。

かなりの醜態をさらしたけど、クレメールに出逢えたことは彼女にとって良かったことだと思う。クレメールに出逢わなければ、たぶん彼女は俳人になるか自殺するかのどちらかだったと思うんだよね。荒っぽい方法だったけど、きっと彼女はこれでやり直せると思う。幸せになれると信じたい。

ラストシーンはもう見事というしかないくらい、素晴らしい。彼女はもう二度と同じ場所には戻って来ないだろうと思った。「シャイニング」を見た時と同じような、気味の悪い美しさが、いつまでも心に残った。

ピアニスト ピアニスト

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2002/10/11
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~Link~

ピアニスト@映画生活

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