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「微笑みに出逢う街角」

彼女達はあれで、本当に幸せになれるのだろうか?あれで、過去と決着を付けることができたのだろうか?私はいまいち納得できない。

《あらすじ》
夫に言えない秘密を抱え、何か思いつめた表情で毎日を過ごしているオリビア。かつては画家になりたいという夢があったが、最近は絵を描くことさえ忘れていた。しかし、とある夢を見るようになってから、彼女は何かを思い出したように再び絵を描き始める。その夢は忘れられない悲しい過去と現在の彼女を結ぶ接点だったことが次第に明らかになっていく。
雑誌“TIME”の表紙を飾り、カメラマンとして華々しいデビューを果たしたナタリア。周りは彼女の成功を称えたが、当の本人は素直に喜べずにいた。表紙となった少女の写真を撮った時の記憶がないのだ。写真に写る少女の悲しい瞳。その後、記憶を取り戻した時、ナタリアは自分の行動を悔やみ、罪を償おうと、ある決断をする。
チェロ奏者のキャサリンは長いこと家族の元に帰っていない。父親が母親を殺害するという、幼い頃の悲劇がキャサリンの心の傷となり、自分の家族と向き合うことが出来なくなっていたのだ。父親への復讐を誓っていたキャサリンは、出所してきた父親に銃口を向けるのだが・・・。
トロントを舞台にして、同時進行で描かれる、女性達3人の物語。

自分勝手な女性達の物語に見えてしまいました。

まず、オリビアのお話。彼女の過去は確かに不幸なものです。でも、あのお話で一番不幸なのは彼女の夫ではないかと思います。今まで、過去について一切語られず、何十年もたってから真実を告げられて、しかも、自分との結婚が愛情ではなく、罪を償うためのものだったなんて(足の不自由な夫の面倒を見ることで過去の償いをしたいという気持ちがオリビアにはあったようだ)、人をバカにし過ぎです。挙句の果てに、「もうふっきれたから、私は夢を追いかけるわ」みたいなあの態度。全然、納得できない。人の気持ちを何だと思っているのか?償いどころか、さらに自分勝手なオリビアの気持ちが夫を傷つけただけじゃないかと思いました。最後、『あなた、よく笑ってられるわね』と思ってしまったくらい。ああいう、自分が一番不幸だと思ってる人(自業自得なのに)って嫌いです。不幸なのは夫の方ですから。

次にナタリアの話。戦火の中、もうすぐ焼け落ちそうな小屋の中に亡くなってしまった両親の側で泣いている少女がいる。すぐにも助け出さないと少女は死んでしまうという状況で、ナタリアは少女を助け出すことよりもシャッターを押すことを選んだ。その記憶を取り戻した時、ナタリアは自分を責め、仕事を止める決意をする。そして、再びアンゴラへ、今度はボランティア活動をしに向かう。
これもどうなんだろうな?と思いました。逆に、シャッターを押すことよりも少女を助け出す方を選び、カメラマンとしてよりボランティアとして生きるという決断をするなら分かります。でも、彼女は選択を迫られる中、無意識のうちにシャッターを押すことを選んだんですよね。その時点で、彼女はカメラマンに向いていると思うのですよ。だって、あんなに自分の行動を悔やむような人なら、絶対助ける方を選んでるんじゃないかと。“人の命かスクープか”ですよ。普通の人間なら、命を優先するでしょ。でも、彼女はスクープを選んだ。その時点で普通じゃないもの。根っからの報道カメラマンなんです。そういうプロらしき行動をしておきながら、「やっぱり私向いてません。見捨ててしまった彼女ためにもこれからはボランティアとして生きてきます」ってすごく中途半端な感じがしました。そんな中途半端な気持ちで少女を見捨てたのかと思うと、腹が立ってしょうがない。ボランティアとして再びアンゴラへ戻っても同じですよ。覚悟のない彼女はきっとまた人を傷つけます。そんな気がします。

最後にキャサリンの話。これもね、オリビアの物語を見ていた時と同じなんですけど、自分の不幸を家族にまで振りまくな!と思ってしまいました。“家に帰ってこない、電話にも出ようとしない、話し合おうとしない”これでは、ただ待たされている夫や娘が、あまりにも可哀そうでしょう。少しでも自分の家族を思いやる気持ちがあるのなら、夫には話しておくべきだと思いました。訳も分からず拒絶されてる娘は本当に可哀そうですよ。自分の行動が新たらなる傷を生み出していることにキャサリンは気付かないのだろうか?
父親に対する復讐心に対してもそうです。確かに父親は許せない存在であることは理解できます。でも、父親が刑務所ですごしている間にキャサリンは結婚をし、子供を産んでいるわけですよね。心に傷を負いながらも、家庭を築くことが出来た人間が、わざわざ父親を付けねらい殺そうとするとはちょっと考えられない。何だか、どうも矛盾を感じる。

彼女達は周りの人も自分と同じ人間だということが分かっているのだろうか?と疑問をもちながら見ていました。あまりにも自分の気持ちが優先されていて、本当に不幸なのは人として見て貰えなかった、周囲の人々です。3人とも微妙に勘違いなんだよな。どんなに不幸なことが過去にあっても、現在、自分の側に居てくれる人には思いやりを持って欲しいと思う。彼女達がこの先、幸せになれるとは到底思えない。

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微笑みに出逢う街角@映画生活

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コメント

キュブ零さん、こんにちは。

>映画の感想は、読書のように、みんな個人個人捉え方、感じ方って違うと思うので

私も全くの同意見です。年齢や経験やその人の生きてきた環境など、人によって様々ですから、一つの物語を見て、どういう感想を持つのかというのは、本当に違ってくると思います。全く、厚かましくなどないですよ。ありがとうございました。

投稿: ムム | 2006年6月 3日 (土) 17時22分

ムムさん、はじめまして。TB有難うございました。先日、コメント書いていたのですが、入力し間違えてしまったようで、消えていましたので、再度入力させていただきました。
自分は、ムムさんの感想、興味深く読ませていただきました。映画の感想は、読書のように、みんな個人個人捉え方、感じ方って違うと思うので、自分が言うとお節介かもしれませんが、ご自分なりのコメント頑張って続けていってください。厚かましい意見ですいません。

投稿: キュブ零 | 2006年6月 3日 (土) 10時43分

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