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「ブロークン・フラワーズ」

雨の降りしきる中、映画を見に行ってきた。
監督が誰だとかよく分からず、ただ宣伝を見て、「見たい!」と思い、出かけたんだけど、ジム・ジャームッシュの映画だったんだね。

《あらすじ》
コンピューター事業で財産を築き、金に不自由はしないが特に何をするでもなく、覇気の無い毎日を過ごしているドン・ジョンストン。かつてはドン・ファンに例えられるほどのプレイボーイだった彼も、今では情けない雰囲気の漂うただの中年男だ。そんな彼の元に一通の手紙が届く。差出人不明の手紙には、ドンと別れた後子供を産んだこと、その子供がドンの息子であること、そして、その19歳になった息子が父親探しの旅に出たことなどが書かれていた。乗り気でなかったドンだが、詮索好きの隣人ウィンストンに煽られて、事実を確かめるために、当時付き合っていた女性達を訪ねて回ることに・・・。

グラスに注がれたシャンパンが、ソファーに座るドンの後姿が、そして、毎日色違いで着られているジャージが、何故かじわじわと笑いを誘う。笑いというと騒がしいものを想像してしまうけど、この映画は“静”で人の心を笑わせる。

例えば、主人公ドンや劇中に度々現れる静止画がグレーだとしたら、周りの人物や出来事は原色。派手なものと地味なものが、静と動が重なり合って、時には反発しあって、じわじわと笑いを誘うのだ。

これは、「コーヒー&シガレッツ」や「ナイト・オン・ザ・プラネット」を見た時にも感じたゾワゾワ感なんだけど、きっと監督の個性なんだね。誰が作ったものか知らずに見ても、ジム・ジャームッシュ印がはっきりと分かる。

で、素晴らしいのは監督だけじゃなくて、俳優にも言えること。ビル・マーレイの映画なんて、「ゴースト・バスターズ」以来だったけど、何かあのひょうひょうとした感じが相変わらずで、ドンはビル・マーレイにしか出来ないだろうと思ったよ。だって、無表情で座ってるだけで面白いんだよ。しかも、後姿。もう、何があっても反応が有るのか無いのかの無気力っぷりで、たま~に感情を表すんだけど、何ていうの?もう存在が可笑しい。

全部で4人の恋人の家を訪ねるんだけど、その一つ一つが完結してるというか、一本の繋がったストーリーなんだけど、オムニバスを見ているような気もしてくる。例えば、昔の彼女がこんな人だったら?みたいな、ショートストーリーを見ている感じ。それぞれが個性的で、それに対するドンの反応が面白い。

結局、ドンは自分の過去を旅していたんだよね。それによって、最後は彼にとって重要な何かを発見したのではないか?と思わせるエンディングだった。何かに気づいたというか、何も置かれていなかったリビングに一つだけ家具が置かれました・・・みたいな。

ジム・ジャームッシュが好きな人なら、大満足の一本だと思うよ。

ブロークン・フラワーズ@映画生活

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原題:Broken Flowers この映画、またまたビル・マーレイが、ロスト・イン・トランスレーションしてるよね。あのポーカーフェイスのまんまで、哀愁に満ちた時が過ぎる・・。 差出人不明のピンクの手紙に綴られた、まだ知らぬ19歳の息子の存在、そこから過去... [続きを読む]

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受信: 2006年8月22日 (火) 02時45分

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