「ウィスキー」
ペンギン好きですか?ラクダとかキリンとか、ずーっと口をもごもごしてるのを見てるの好きですか?
私はそのような“ぬぼ~”っとしてる感じがたまらなく好きなのですが、この映画にも同じものを感じたのでした。
《あらすじ》
ウルグアイのとある靴下工場。
経営者のハコボは毎朝決まった時間に出勤する。やはり毎朝決まった時間に、シャッターの前では従業員のマルタがハコボの到着を待っている。ハコボが工場のシャッターを開けると、マルタはロッカールームへ、ハコボは機械を動かし始める・・・。
毎日同じ時間に、ほぼ同じように仕事をして二人の一日は終わっていく。二人の間で交わされる言葉は事務的なもの以外ほとんどない。
母親の墓石の建立式を間近に控えたある日、ハコボはマルタに言った「妻のふりをして欲しい」。建立式には長い間疎遠になっていた弟エルマンが来ることになっていた。その為、ハコボは夫婦のふりをするようにマルタに頼んだのだ。夫婦のふりをするためにいそいそと準備を始める二人。そこへ、いよいよエルマンが到着するのだが・・・・・。
以前、こんなペンギンを見たことがある。
天上から降り注ぐ氷の真下に突っ立って、頭から氷を浴び続けているペンギン。全く動かず、瞬きすらしているのかも分からないくらい微動だにしないペンギン。私はそのペンギンから目が離せなくなってしまった。ずっと見ていたかった。別に『いつ動くんだろう?』と動く瞬間を見たくて待っていたわけではなく、ただその動かないペンギンをずっと見ていたかったのだ。
この映画はそんなペンギンに似ている。ハコボはペンギンに似ている。
ハコボは無口だし、基本的に無表情だし、何を考えているかよく分からない。そして、いつも決まった行動して、常にそこに存在しているという感じ。
そんな彼が少し顔を歪めたり、どうしていいか分からないような困った顔をしたりする度に、『あ~、何にも考えてないみたいに見えてたけど、実はハコボもいろいろ考えてるんだな~』などと、変なところで感心してしまった。ハコボの感情を垣間見ることが出来たとき、まるで宝物を発見したときのように特別に感じてしまうのだ。
しかし、ハコボみたいな人が恋愛をすると大変だろうな。何十年たっても、相手に思いが伝わらなさそうだ。
ハコボはマルタが好きだったんじゃないかな?マルタもハコボを男性として意識するようになっていたと思う。だけど、ハコボは感情を表に表せない人だし、マルタは偽装夫婦大作戦をきっかけに突然何かに目覚めてしまったのか、どんどん変わっていくし、歯車がかみ合わないんだよね。もう少し、ハコボが上手に自分の気持ちを伝えられるような人だったら、“めでたし、めでたし”になっていたかもしれない。
エルマンという一人の男性の登場によって、マルタもハコボも違う毎日を送るようになりました。でも、何かが動きだしたという点ではハッピーエンドだったと思う。永遠に動かないペンギンというのも心配になるし。ずっと停滞してると心が腐りそうだし。
~Link~
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ウィスキー 販売元:アミューズソフトエンタテインメント |
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