「4ヶ月、3週と2日」
《あらすじ》
1987年、ルーマニア。
大学の寮で暮らすオティリアとルームメイトのガビツァ。
ガビツァが妊娠し、それを秘密裏に中絶するため二人は奔走する。
この当時のルーマニアでは、40歳以上で4人以上の子供を養っている場合のみ中絶が許されたそうです。しかも、避妊具の販売も使用も禁止。
そのような状況でガビツァ(以下ガビ)は妊娠しました。
中絶が必要な場合も実際あるとは思うんです。
でも、特別な理由もなく若さゆえの無計画な妊娠だとしたら、友達の為に体まで差出せますかねぇ?
しかも、自分のことにもかかわらず人任せのガビ、そしてオティリアに対するあの態度。
オティリアの身になって考えてみると、やり切れない気持ちでいっぱいになってしまいます。
最初は、チャウシェスク政権下での一つの悲劇を映画にしたのかな?と思ったんですけど、それだけではないように思いました。
チャウシェスクの政策は間違っていると思います。でも、安易に妊娠したから中絶しようなんていうガビのような子も間違っていると思います。
何だか、中絶というテーマについて両極端な二つの意見をこの映画の中で見た気がするのです。
避妊具の使用が禁止されていただけあって、二人の周りには中絶を経験した子が多くいたようです。しかも、オティリアの彼の反応を見る限り、妊娠するようなことをしておきながら、妊娠してからのことをまるで考えていないという・・・。(国にかかわらず、若者にはありがちですが)
この辺のことから見ても、若者のモラルについてかなり皮肉られてるなと思います。
一方、闇医者べべの野蛮な要求や立場的にそれを受け入れなければならないガビとオティリア(オティリアは拒否しても誰も責められないと思うが)を見ると、当時の政策が生み出した歪みを感じます。
もしあれが、母体の命を救うためなどやむを得ない場合の手術だったらと思うと、より許せません。(そういう場合の中絶は合法だったのでしょうか?)
時代を遡れば、中絶を禁止していた国は数多くあったようですし、このような映画がルーマニアで作られたというのには大きな意味があるのかもしれませんね。
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